「場合の数を習い始めたけれど、PとかCとかビックリマークが出てきて…よくわからない!」という高校生の皆さんへ。東大卒講師歴20年の管理人が分かりやすく解説します。この記事を読めば「な~んだ。それだけ?」と拍子抜けするしょうw
目次(クリックでジャンプ)
2つの数え方
場合の数え方には「順列」と「組み合わせ」があります。その区別をきちんとつけましょう。
例えば「1」「2」「3」3つのカードから2枚選ぶとして、選んだカードで「2ケタの整数を作る(A)」のと「ただ選ぶだけ(B)」ではどうなるかと言うと…
Aの場合は、「12」「13」「21」「23」「31」「32」の6通りになりますが、Bの場合は「1と2」「1と3」「2と3」の3通りしかありません。
計算方法は後で書きますが、数の順番を気にして「12」と「21」を別に数えるAよりも、「12」と「21」を区別しないBの方が答えが少ないのは分かりますね。
順番を問題にする数え方(A)を「順列」、順番を問題にしない数え方(B)を「組み合わせ」と呼びます。
●順列…順番の違いを区別する
(例)5人からリレーの選手3人と走る順を決める。
(例)1から5までの数字で3ケタの整数をつくる
●組み合わせ…順番の違いを区別しない
(例)5人から3人の掃除当番を選ぶ
(例)1から5までの数字から好きな数字を3つ選ぶ
次は「順列」の求め方(公式)と使い方を見ていきます。
順列(nPr)
●n個からr個選んで並べる nPr
(例)5個から3個選んで並び替える
→ 5P3=5×4×3=60
(例)10個から4個選んで並び替える
→10P4=10×9×8×7=5040
●n個を並び替える r! (階乗)
(例)3個を並び替える→3!=3×2×1=6
(例)5個を並び替える→5!=5×4×3×2×1=120
いくつかの中から選んで並べ替える(順番のある枠に入れる)のが順列です。
基本
例えば、1から9までの数字カードから3枚選んで3桁の整数を作る場合、まず百の位のカードの決め方が9通り、次に十の位の決め方は既に1枚使っているので8通り、一の位は2枚使っているので7通り、全部で9×8×7=504通りになります。
一般に、n個からr個選んで並び替える(順番のある枠に入れる)場合の数を「nPr」と表現します。今の問題は9個から3個を選んで並び替えたので「9P3」で計算式が「9×8×7」になりました。n(9)から1ずつ小さい数をr(3)個かけ算すればOKということです。例えば「10P4」なら「10×9×8×7」に、「7P2」なら「7×6」になります。
このルールを文字式だけで表すと次のようになります(教科書にはこう書いてあります)が、
nPr=n×(n-1)×(n-2)…×(n-(r-1))
nPr→➀×(n➁)×n③)(…×(-r-n1))
これを覚える必要はありません。次の確認テストで具体的な計算式が立てられればOKです。
10種類のアイスから2種類選んで縦に積む。
→( 10P2=10×9=90通り )
8人からリレー選手の一番手二番手アンカー3人選ぶ。
→( 8P3=8×7×6=336通り )
1から9までの数字から4つ選んで4ケタの整数を作る。
→( 9P4=9×8×7×6=3024通り )
階乗
順列の中でも、特にn個全部を並び替える場合は
→n×(n-1)×(n-2)…×1 になります。
→これを「n!」と書き表し「nの階乗」と呼びます。
4人が横一列に並んで記念撮影するときの並び方
→4!=( 4×3×2×1=24通り )
組み合わせ(nCr)
いくつかの中から選ぶ(だけ)が「組み合わせ」です。
基本
例えば「A」「B」「C」「D」「E」の5個から2個選ぶ場合に上で学習した順列の組み合わせを使うと、5P2=5×4=20通り になりますが、この中には「AB」「BA」など同じ組み合わせを2回づつ数えています(重複カウント)
この重複カウントは2個選ぶ場合は2個の並び替えで2!=2回、3個選ぶ場合は3!=6回になります。
このように「組み合わせ」は「順列nPr」に比べると、r! 個の場合を重複カウントしているので、nPrをr!で割る必要があります。(この「順列を重複カウントで割る」というのは重要な考え方なので覚えましょう。)
結局、nCr=nPr÷r! となります。こう書くと難しそうですが実際の数字を入れると、そうでもありません。
例えば 10C3=10P3÷3!=10×9×83×2×1となります。分母と分子で並ぶ数が同じなので覚えやすいと思います。
●n個からr個選んで並べる nPr
=n×(n-1)×(n-2)…×(n-(r-1))
→➀×n➁()×n)③(…×(-r-n1
●n個からr個選ぶだけ nCr=nPr÷r!
(例)10C3=10×9×83×2×1=120通り
確認テストをどうぞ
7種類のアイスから3種類選んで皿に盛る
→( 7C3=7×6×53×2×1=35通り )
10人から代表4人を選ぶ
→( 10C4=10×9×8×74×3×2×1=210通り )
1から9までの数のうち好きな数を5つえらぶ
→( 9C5=9×8×7×6×55×4×3×2×1=126通り )
計算を簡単にする方法
例えば、10個から9個を選ぶ場合に上の公式を使うと
10C9=10×9×8×…×3×2 9 ×8×7×…×2×1 となり、約分をして
=10×9×8×…×3×2 9 ×8×7×…×2×1=10 と計算することになりますが、
少し考えてみると「10個から9個を選ぶ」のは「10個のうち選ばない1個を選ぶ」のと同じですね。
つまり 10C9=10C10-9=10C1 としても良いのです。
nCr=nCn-r
(例)10C9=10C10-9=10C1
確認テストをどうぞ
20人から16人を選ぶ
→( 20C16=20C20-16=20C4
=20×19×18×174×3×2×1=4845通り )
公式の利用
(人数指定のある組分け)
「◎人を◎部屋に●人ずつ分ける」というような人数指定のある組分け問題はnCrの積を使う。
部屋に区別がある場合
例えば「4人の生徒を部屋Aに2人、部屋Bに2人と分ける」場合は、4人から2人選ぶ( 4C2 )× 残りの2人から2人選ぶ( 2C2 )=4×32×1×1=6通り。(全員を分けるなら最後は必ず×1になるので、面倒くさそうなnCrを最後に持ってくると計算が楽になりますね。)
確認テストにトライ
6人の生徒をABC3つの部屋に2人づつ分ける場合
→( 6C2×4C2×2C2=6×52×1×4×32×1×2×12×1=90通り )
5人の生徒を部屋Aに2人、Bに2人、Cに1人分ける場合
→( 5C2×3C2×1C1==5×42×1×3×22×1×1=30通り )
6人の生徒を部屋Aに3人、Bに2人、Cに1人分ける場合
→( 6C3×3C2×1C1=6×5×43×2×1×3×22×1×1=60通り )
部屋に区別がない場合
部屋に区別がない場合は「区別がある場合の答え」を「人数が同じ部屋の数」の階乗(!)で割る(重複カウントを割って減らしている)
例えば「4人の生徒を(区別の無い)2つの部屋に2人ずつ分ける」場合は「部屋に区別のある場合」の 4C2 × 2C2 )を人数が同じ部屋2つの階乗(2!)で割るので、4×32×1×2×12×1÷(2×1)=3通り になります。
6人の生徒を区別の無い3つの部屋に2人づつ分ける場合
→確認テスト1を( 3! :人数が同じ部屋が3つ )で割る
→( 6C2×4C2×2C2÷3!=6×52×1×4×32×1×2×12×1÷(3×2×1)=15通り )
5人の生徒を区別のない3つの部屋に2人、2人、1人と分ける場合
→確認テスト2を( 2! :人数が同じ部屋が2つ )で割る
→( 5C2×3C2×1C1÷2!=5×42×1×3×22×1×1÷(2×1)=15通り )
6人の生徒を区別のない3つの部屋に3人、2人、1人と分ける場合
→確認テスト3を( 割る必要は無い(人数が同じ部屋がないから) )
→( 6C3×3C2×1C1=6×5×43×2×1×3×22×1×1=60通り )
できましたか?
「5人を3部屋に分ける」のように人数の指定がない場合はけっこう複雑です。余裕がある人は別記事「組分け問題全8パターンの解き方」を見て下さい。
まとめ
次のステップへ
場合の数の基本が分かったら「場合の数の応用公式」へ進みましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました。この記事があなたの役に立てたなら嬉しいです♪