「対数って何?」「ログって良く分からない…」という高校生の方へ。確かに日常生活であまり耳にしない言葉なので難しく思えるかもしれません。でも「指数」が分かれば対数も分かりますよ!この記事は東大卒講師歴20年の管理人が対数(log)(ログ)の意味を分かりやすく説明します。
目次(クリックでジャンプ)
対数の基本
対数は指数の○
「対数」を一言で言うと、「指数の逆」です。だから指数を思い出しましょう。指数法則「ak=N」 を日本語に直すと「aをk乗するとNになる」ですね。
この言葉の順序を変えてkを求めるようにすると「aをNにするにはk乗すればよい」になります。
この「aをNにするにはk乗すれば良い」を数式にしたのが logaN=k で「ろぐえいえぬいこーるけい」と読みます。
「logaN」→aを何乗すればNになるか?
「logaN=k 」⇔「 ak=N」
(aをNにするにはk乗する) (aをk乗するとNになる)
(例)「log39=2 」⇔「 32=9」
(3を9にするには2乗する) (3を2乗すると9になる)
指数法則に自信がない・忘れたという人は「指数法則の基本」「指数法則の拡張」をよく見直して下さい。
対数の構成要素
log全体を「対数」と呼びます。
「logaN」のNを真数と呼びます。Nには「0<N」という条件があります。(真数条件と言います)
「logaN」のaを底と呼びます。aにも条件があり、「0<a」というのはNと同じですが,さらに「a≠1」という条件があります(1は何乗しても1にしかなりませんね)。
全部合わせると「logaN=k」は「aを底とするNの対数はk」という意味になります。
「logaN=k」
a→底 N→真数 k=対数
(数字が3つある)
0<a,a≠1,0<N
指数⇔対数
指数から対数を作る練習
「 ak=N」⇔「logaN=k 」
(aをk乗するとNに) (aをNにするにはk乗)
あまり難しく考えずに「●を○にするには◉乗すれば良い」という日本語を作り、その順に数字を並べて「log●○=◉」という式を作りましょう。そのうちに意味も実感できるようになります。
例1
32=9 を logaN=k の形にせよ
例2
2-3=
18を logaN=k の形にせよ
例3
5$\frac{1}{2}$=$\sqrt{5}$ を logaN=k の形にせよ
対数から指数を作る
「logaN=k 」⇔「 ak=N」
(aをNにするにはk乗) (aをk乗するとNに)
(例1)log232=5 を「ak=N」の形に直せ
(例2)log44=1 を「ak=N」の形に直せ
(例3)log$\frac{1}{2}$16=-4 を「ak=N」の形に直せ
対数を求める
やり方(その1)
底が「2」「3」のような単純な数の場合
真数Nを「ak 」の形になおした時の「k」を答えるのが簡単でしょう。
真数Nを底aの累乗akに変形
logaN=logaak=k
例1
log232 を求めよ
例2
log3181を求めよ
例3
log3$\sqrt[3]{81}$ を求めよ
例4*
log3$9\sqrt{3}$ を求めよ
やり方(その2)*
底が単純な数でない場合(分数など)
対数「logaN=k 」を指数「 ak=N」の形に変形して指数方程式を利用する
logaN=X を ax=N に変形して
指数方程式を解く
例5
log$\frac{1}{2}$8 を求めよ
例6
log$\frac{1}{4}$$\sqrt{2}$ を求めよ
例7
log$\frac{1}{10}$$\frac{1}{\sqrt{10}}$ を求めよ
対数の性質と利用
基本ルール
logaak=kこれは上にも出てきました。「aを何乗すればakになるか?→k乗」(ak=ak)
logaa=1 「aを何乗すればaになるか?→1乗」(a1=a)
loga1=0 「aを何乗すれば1になるか?→0乗」(a0=1)
logaak=k
logaa=1
loga1=0
練習問題
対数をまとめる
❶和→積
logaM+logaN=logaM×N (底が同じ対数の和は真数が積になる)
(証明)
log39+log327=log332+log333
=2+3=5=log335=log333×32=log39×27
❷差→除
logaM–logaN=logaMN
(底が同じ対数の差は真数が除になる)
(証明)
log327-log39=log333-log332
=3-2=1=log331=log333÷32=log327÷9=log3279
(底aが等しい場合のみ)
❶logaM+logaN=logaMN
❷logaM-logaN=loga$\frac{M}{N}$
❸係数を中に入れる
klogaN=logaNk(ログの係数は真数の指数になる)
logaNk=klogaN
(証明)
log282=log2(23)2=log226=6=2×3=2×log223=2log28
例1
log39+log327 を計算しなさい
例2
log108+log10125 を計算しなさい
例3
log619+log614 を計算しなさい。
例4
log2160-log25 を計算しなさい
例5
log3$\sqrt{24}$-log3$\sqrt{8}$ を計算しなさい
例6
log512-log5300 を計算しなさい
対数をバラす
「まとめる」の逆方向
例1
log102=a、log103=b とするとき、次の値をa,bで表せ
(1)log10120
(2)log100.15
新しい底の分数にする(底の変換公式)
対数の底とも真数とも違う新しい数字を底として、分数を作れます。他の対数と底を揃えるのに使います。
logaN=logbNlogba
(証明)
(logaN=K)
↓
ak=N
↓
logbak=logbN
↓
klogba=logbN
↓
k=$\frac{log{b}{N}}{log{b}{a}}$
↓
logaN=$\frac{log{b}{N}}{log{b}{a}}$
例題
対数関数
対数方程式・不等式
常用対数
10を底とする対数「log10X」(10を何乗したらXになるか)を「常用対数」という。
(例)log10100=(10を何乗したら100になるか)=2
(例)log1010000=4
常用対数表の読み取り
今は「100」「10000」のように10を整数乗した数を例に出しましたが、「3」のような数はどうなるでしょう?
答えを言ってしまうと「log103」は「0.4771」になります。
つまり、「10」「100」以外のほとんどの数の常用対数は小数点のある中途半端な数になります。
これらは暗算・筆算では簡単に出せないので「常用対数表」という表の形になったものを読み取って使います。
下にあるのは常用対数表の一部分を抜粋したものです。
例えば「1.33の常用対数」「log101.33」(10を何乗すると1.33になるか)を読み取る場合
①まず左端のタテの列で「1.3」を探すと上から三行目に見つかります。
②次に小数第二位「3」を上端のヨコの列で探すと四列目にあるので、「1.3」の行の4列目をみると「.1239」とあります。
これが「1.33の常用対数」です。
❶小数第一位までの数字でタテにたどる
❷小数第二位の数字でヨコにたどる
例1
2.46の常用対数(log102.46)を求めよ
例2
常用対数が0.4594になる数(log10X=0.4594 になるX)を求めよ
常用対数表の利用
常用対数表にない数字でも、×10、×100、○10、○100などの形に変形すれば求めることができます。
大きな数の常用対数を求める
例えば、1330の常用対数つまり「log101330」を求める場合
1330=1.33×1000なので、log101330=log101.33×1000=log101.33+log101000 と変形できます。
log101.33は0.1239、log101000=log10103=3 なのでlog101.33+log101000=0.1239+3=3.1239 と分かります。
(例1)対数表を用いて log1025.1 を求めよ
(例2)対数表を用いて log10149 を求めよ
小さい数の常用対数を求める
また0.133の常用対数つまり「log100.133」を求める場合は
0.133=1.3310なので、log100.133=log101.3310=log101.33-log1010と変形できます。
log101.33は対数表より0.1239、log1010=log10101=1 なので log101.33-log1010=0.1239-1=–0.8761 と分かります。
(例3)対数表を用いて log100.0292 を求めよ
●大きい数の常用対数
○「表の数値×10」→数値+1
○「 〃 ×100」→ 〃 +2
●小さい数の常用対数
○「表の数値10」→数値-1
○「表の数値100」→数値-2
整数部分のケタ数
例えば「50」の整数部分は「2」ケタです。この「50」という数からどうやって「2」が出てくるのでしょう。
ケタ数が変わるのは10,100,1000…で、50がどこにあるか考えると10と100の間(10<50<100)です。
10=101,100=102 なので、10<50<100→101<50<102 と直せます。
50の整数部分のケタ数「2」はこれだったのです。
つまり、ある数Xが10n<X<10n+1 になる場合、Xは(n+1)ケタということです。
ある数Xが10n<X<10n+1 である場合、
Xの整数部分は(n+1)ケタになる
では、「250」は何桁でしょうか。10n<250<10n+1 となる場合、(n+1)ケタと分かるので、250=10x としてxを求めます。(2を50回かけた結果の桁数を数えても良いですが…面倒くさいですね?)
250=10x とすると、xは「10を250にするには何乗すれば良いか」なので、log10250 です。
常用対数表でlog102を調べると、log102=0.3010 なので、log10250
=50×log102=50×0.3010=15.05 と分かります。つまり250=1015.05 です。
以上より 10n<250<10n+1 → 10n<250=1015.05<10n+1 → 1015<250=1015.05<1016 なので、250は16ケタと求められます!
(例)310 の桁数を求めよ。log103=0.4771 とする
(例)340 の桁数を求めよ。log103=0.4771 とする
小数の数字部分
同じように、小数において0でない数字は小数第何位から現れるかを求めます。
例えば、「0.05」は小数第「2」位から0でない数字が現れます。
0.001<0.05<0.01
10-3<0.05<10-2
ある数Xが10-(n+1)<X<10-n である場合、
0以外の数字は小数(n)ケタになる